元素変換001

低エネルギー核反応

 2000年、つくばの研究者(高橋昭男氏)が、私に「ある技術」を託しました。託された技術は、ビーカーの中で、元素を別の種類の元素に変換する技術(核反応技術)です。

 1989年、米国の2人の研究者によって、電気化学の技術で「核融合」が起きたと発表されました。高橋氏は、電気化学の専門家でしたので、思い当たることがあって、このときから追試を試みはじめました。
 彼は苦労の末、再現に成功したうえに、様々な元素を他の元素に転換するルールを発見しました。さらに、文字通り「錬金術」もやってのけました。
 彼は、他の専門家に確認してもらうため、1993年に、東京大学の物性研究所で装置を組み立て、教授の立会の下で実験をやって見せ、核変換が起こっていることを確証しました。
 そして、一連の成果を特許出願しました。その報告が物性研を通じて京都大学の某教授に届いたとき、祝ってくれるのかと思いきや「出願を取り下げろ」と言われ、不本意ながら従わざるを得なかったそうです。高橋氏の話によると「錬金術」の存在が、教授の立場上都合が悪いのではないかと言っていました。

 その後、高橋氏は、研究を巡って金融トラブルに巻き込まれ、逃げ惑う中、病が悪化してゆきました。 最後に私たちに出会ったとき、技術を私に託し、次のように言い残したあと亡くなりました。「絶対に政治家に見せないでくれ、絶対に大企業に話さないでくれ、絶対に国に教えないでくれ」と。

 とはいえ、我々も技術を受け継ぐ余力がないので、協力者を探しました。幾多のツテを使って、多くの人と会って解った事は、今の時代にこの技術を真剣に扱おうとする相手がいない という事実でした。
 理由は簡単です。今の時代で社会の基盤を維持させている勢力には、その利益を脅かす「要素」は邪魔なのです。国も、大学も、企業もダメでした。
 我々は決意しました。時が来るまで、我々で育て、世界が必要とする時まで財団内で研究し続けるしかないと。

 最近(2021年3月)になって、この技術の再現実験を社内チームで試み、まる1年かけて、やっと成功しました。ビーカーの中で元素を創製する技術です。高橋氏の名誉のために、発明者「高橋昭男」として、エクボから特許を再出願しました。
 このような研究成果が、どれほど革新的なのか、ご理解いただける方は、残念ながらまだ少ないと思います。そこで、1989年に米国で始まった常温核融合の歴史に触れた後、現在の我々の研究開発の位置づけと展望について解説したいと思います。

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