元素変換004

【常温核融合の原理】

 フライシュマン、ポンズが行った実験の原理は、次のように考えられていました。
 水の電気分解で、陰極に「水素ガス」が発生します。陰極のパラジウムは、水素ガスを吸収する性質があるので、表面で発生した水素ガスを電極棒の中に取り込んでいきます。
 パラジウム、チタン、マグネシウムなどの金属は水素ガスを内部に取り込む性質があり、これらを「水素吸蔵金属」と呼んでいます。
 金属が水素ガスを吸蔵するときに、凝集熱という熱が発生しますが、それだけでは石炭10トン分のエネルギーに到達しません。フライシュマン、ポンズが確認した発熱は、装置を溶かすほどの温度に達したというのですから、明らかに別物でした。
 核融合が起きているとすれば、それは電極に使ったパラジウムの内部ということになります。スポンジが水を吸うように、パラジウムに重水素の原子が吸収され、互いにひしめき合って押し合います。タバコ1本分のパラジウム棒は、10リットル以上の水素ガスを吸蔵しますので、限界まで吸蔵したときに水素原子同士の圧力は想像を絶するほどになります。このとき、水素原子同士の距離は、一線を超えるほどに接近し、核融合が起こると考えられています。

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